ブランド:SAGA PLANETS
ジャンル:ADV
原画:ほんたにかなえ とらのすけ ちまろ
シナリオ:新島夕
満足度:82点
プレイ時間:20時間程度
期待を裏切らない出来でした。萌えゲーでありながらどこか現実離れした、朧げなイメージが持ち味の作品ですね。前々作であるナツユメナギサの世界観に近しいものを感じました。
プレイ時間的な意味で若干のボリューム不足感は否めないものの、時間を忘れてプレイ出来るエロゲってのもなかなかいいものですね。
ということでストーリーなどについてぼちぼち感想をぶちまけてみんとす。
シナリオ:★★★★★(5点満点)
勢いで満点とかつけちゃいましたが、シナリオというより“文章”といったほうが正しいかもしれない。
新島夕さんもなかなか独創的なセンスを持つ人だと思いました。作品全体に詩的な雰囲気があるのもそうですが、ヒロインがおふざけで言うセリフなんかの一つ一つに愛嬌があって、エロゲにおいて必要不可欠であると言っても過言では無い、萌え要素を存分に満たしてくれます。
またセリフの中でまれに句読点を多用してるのが見受けられるのですが、これはたぶん音声のない主人公のセリフの間や口調を表現してるのかな、と思ったり。まあ事実はどうなのかは俺にはわかりませんが、特徴的で印象深かったと思います。地の文で韻を踏んだりするなども印象深いですね。どんだけ褒め称えてるんだとか思いますが、このテキスト無くして叙情的な世界観は成り立たないと思いますし、作品の雰囲気作りに置いてもこの文体は欠かせない要素であると言えるでしょう。
とはいえこの雰囲気が持つ独特さが微妙にずれているというか妙なダサさのようなものがあって、なんでそんな言い回しやネーミングなのか?と思える部分もなくはないので人によっては捉え方も違ってくるのかもしれませんね。俺は個性的でいいと思いますが。
作品のテーマは卒業。上述しましたがナツユメにちょっと似てます。なんでかは具体的に言うとネタバレるので(もうすでにしてるというツッコミはなしで)あえて触れない方向にします。
今回のテーマがテーマだけに明らかに別離というタイムリミットが見えていたので意外性はなかったですが、それでもその時が来るとしんみりしたりするものです。しかし、未回収な伏線もあったりしますし不得要領なところも少々あったりするのである程度プレイヤーの解釈に委ねられてる部分があるというのも事実だと思います。その点を受け入れられるかは賛否が分かれそうだという印象を受けました。
お気に入りキャラについて――
・主人公(河野初雪)
ツンデレ系?不良少年。不良っぽい主人公が好きなので好感触でした。なぜか一人で飯を食うことにやたらこだわるというよくわからない癖の持ち主。ヒロインにがっつりセクハラしたり殴りツッコミするエロゲ的に気骨のある主人公ってのは萌えゲーでは少ない気がします。良い意味でヘタレ要素もあったりしてなかなかいいキャラ。
・玉樹桜
はつゆきさくらコンビの片割れ。鳴き声は「ぴゃー」
メインヒロインですし、ストーリーの根幹に関わるので普通に好き。一番イチャコラしてた感があった。
・あずま夜
はつゆきにいじられてこそ本領を発揮するヒロイン。こういうタイプは不良主人公との相性は抜群でしょう。しらないけど多分ドM
・小坂井綾
いちばんかわいい。昔の女的ポジションなのが悔やまれる。しらないけど多分ドS。はちゅちゅき。
・久保完(サブキャラ男)
ヘタレバカ。初雪に対してツンデレなくせにホモ臭くなく、いじられっぷりがいい。枕投げのあたりのセリフには笑ったw
絵:★★★☆☆
クオリティには問題なし。色々と都合があったのだろうかイベント絵に使い回しやテキスト上にあるものがCGで表現されていない部分などがあったのでそのあたりは少々残念。また主人公の顔が若干イメージと違って幼すぎるので、もう少し硬派っぽい雰囲気のほうが合ってるのでは無いでしょうか。あえてそういう風に描いてる可能性も無くはないですが、見た目が怖いと評されてる割にはなんでこんなにショタっぽいんだろうと気になってしまいました。
エロシーンなどの絵はまあいつもの感じ。今回わりかしエロが唐突に感じるなあと思ってましたがCGの方は(エロに関しては)違和感なく受け入れられたかなと思います。
システム・音関連・演出:★★★☆☆
ルートの分岐について――
ゲーム開始してOPまでがプロローグ。本編スタートで周回ごとにヒロインのルートロックが解除される方式。そして最後にグランドED。気になるのは、本編の合間に日時が表示されるのですが年度まではわからないので、時系列が前後した際に混乱してしまいました。アレは何とかならなかったのか……。他の方は理解できたんでしょうかね。綾ルートが過去の話だと気づいたのはシナリオ進んで結構たってからでした。明確な説明がなかった(と思う)のであえてミスリード狙ってやってんのかもしれませんが、それだと何のためになのかいまいちわからないんですよね…。シナリオに幅を持たせるためだったのかも?単に読み飛ばしちゃってる可能性がなきにしもあらず。
演出――
SEのしょぼさに泣いた。特に爆発音。テメーは駄目だ。ドーンってなんのギャグですか。
ゴーストの鳴き声の表現はわりとすき。あと“バニッシュだ”の時に出る桜散る剣閃も綺麗でなかなか。
曲――
豪華4曲仕様。さすがVAといったところです。メンツもKOTOKO、flipSide、ピクセルビーと文句なし。でも最終的に好きになったのはメリーゴーランドをぶっ壊せ。だったり。あの歌詞の直接的かつ微妙にダサいセンスがたまらん。
感想は以上でした。
サガプラは前作キサラギでド直球な萌えゲーで来たので今作もそのノリかも?と思いきや、ナツユメで得たファン層を確実に狙ってきてるあたり、良い判断かなと思いました。こんな感じで直球萌えゲーと交互に出して行けば大手にも引けを取らないレベルまでいける可能性もありうるかもしれません。というどう見ても信者目線なのであまり気にしないように。
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